My Life in Geneva

ジュネーブ滞在の記録(2024年4月~2025年3月)

スイスの教育システム(18 avril, jeudi.)

スイスの教育システムについて調べてみた。

昨日は、娘たちのジュネーブ日本語補習校の初日。今日は、公立校での面談。ドキドキする。娘たち(長女7歳、次女5歳)は、公立校に週4、補習校に週1で通うことになりそう。

スイスの教育システムは日本とは大きく異なっている。日本の現行の教育システムが「単線型」であるのに対し、スイスは「複線型」。つまり、様々な修業年限や学校種が併存する学校制度を持つ。

スイスにおける義務教育は11年で、Kindergardenが2年、Primary levelが6年、lower secondary levelが3年である。州によって多少異なっているが、4~5歳になってからKindergardenに通い始める*1。義務教育のカリキュラムや教材、授業時間数等のシステムの構築や教育の実施は、各州(contons)が責任を持っている。スイスにおける義務教育は無料であり、移民や、法的な滞在地位を持っていない子どもも、学校出席の義務が適用される。

スイスでは、義務教育終了後の14~15歳で、職業教育・訓練(Vocational education and training)と一般教育(General education)のどちらに進むかを選択する。職業教育・訓練は、いわゆる徒弟見習い制度(Apprenticeships)である。この記事によれば、250以上の職業(professions)を選択できて、職業学校とOJTを組み合わせて職業資格を取得する。生徒は一週間のうち1~2日は職業学校で学び、残りの日は有給(paid)のOJTを通して学ぶ。3~4年のコースを経て、職業教育・訓練の学位(a Federal Vocational Education and Training <VET> Diploma)を取得する。

一方、一般教育では、高校に進み、バカロレア(the Swiss Baccalaureate)取得を目指す。高校卒業後は大学に進む。基本的にはアカデミックな研究をするトラックではあるが、ヘルスケアや教育、アートなどの実学で特定領域のバカロレア(the Specialised Baccalaureate)を取得することもできる。特定領域のバカロレアは、アカデミックと職業教育の一種の「ハイブリッド」ともいえる*2

14歳で将来の決断をすることについては、賛否両論があるそうだ*3。ただ、将来の選択のための情報提供や相談を行うコースやカリキュラムがあるようである*4。また、職業教育・訓練のトラックに進んだ後にも、進路変更して大学に進むこともできるようである*5。その意味で、スイスの複線型教育システムは「柔軟性」をも兼ね備えている。

統計データによると、義務教育終了後、3分の2の生徒が職業教育・訓練に進み、約20%が一般教育に進むとのこと。ただし、スイスでも高学歴化が進んでおり、一般教育に進む生徒の数は増加傾向にあるという*6

スイスの大学は、3つのタイプに分けられる*7。一つが伝統的大学で、スイス国内に12校ある。ジュネーブ大学もその一つである。学部が3年で修士が2年、その後、PhDコースが約4年である。理論や分析、研究方法を学ぶ。二つ目が応用科学と技術を学ぶ大学で、9校ある。伝統的大学と比べると実学志向であり、例えば建築やヘルスケア、芸術や音楽の学位を取得できる。通常、インターンシープがカリキュラムに組み込まれている。学生は学士と修士を取得するが、PhDは取得しない。最後が教育大学であり、前義務教育レベルから後期中等教育レベルまでの教育術、そして障害を持つ子どもの教育術も学べる。スイス国内に20校ある。大学はすべて公立であり、学費も安いため、他のヨーロッパ諸国と比較すると留学生が多いらしい。

ざっと調べてみた結果をレポートした。しかし、まだまだわからないことがある。例えば、伝統的大学の卒業生の進路とか、職業学校が実際にどのように運用されているのだろうか、とか。ジュネーブにいるうちに、もっと色々と調べてみようと思う。

Il me reste 347 jours de congé sabbatique.